クロスロードの出会い・マルチ商法に目覚める男性

その人は、以前つとめていた会社でお世話になった先輩。
よく、社内の飲み会で一緒に大笑いをした、明るく気さくな人でした。
先日、突然その会社の元同僚(彼とはよく飲む仲なのですが)から連絡があり、今からその人と飲むので来ないかと誘われました。
その先輩は、給料未払いで会社をクロスロードの無料出会い相手に訴訟を起こすなど、妻子を持ちながら色々と苦労をしている人でした。
お互いにその会社を辞めて10年近くになりますが、辞めた後も何回か『お元気ですか』と電話をかけてみました。
するとほぼ毎回『仕事づくめで休むヒマもない』と疲れた返事ばかり。
『今、何の仕事をしているのですか』という問いには、毎回別の答えが返ってきました。
ただでさえも仕事がなくなってきているこのご時世。40代のその人にとってはまさに、藁をもすがる思いで仕事探しをしてたのでしょう。
そんな中、数年ぶりに会ったその人は突然、某健康食品のディストリビューターとなっていました。
俗に言う、マルチ商法の勧誘員。
その日、私より先にその先輩と待ち合わせていた元同僚から、コッソリその事実を伝えるメールが来ました。
彼は会ってすぐに勧誘をされたようでした。そして驚く間もなく。
今までスーツ姿の印象が強かったその人が、突然私服姿で私の前に現れ、妙にオーバーなリアクションで私に笑いかけてきたのです。

 

 

 

それから、本来ならば再会を喜んで大いに盃を傾けたいところだったのですが。
私は正直、素直に喜べませんでした。
それどころか、いつ例の話を切り出されるのだろうと、内心ビクビクしてました。
皮肉な事に、以前は一緒に大笑いしていたその先輩の冗談話や笑い声も、勧誘前に緊張をほぐすためではないかと思うと、それは白々しく聞こえてくるのでした。
そういう微妙な空気を果たして感じ取ったのか取らなかったのか、その人は『ところでさ』といきなり話をふってきました。
それから後はもう、切ないぐらいにあからさまな勧誘。
居酒屋で堂々とパンフレットを広げて熱弁をはじめる先輩に、私はドン引きしたものです。
でもその先輩はさらにたたみかけるように『でさ、今週の土曜日あいてる?』と聞いてきました。
その商品の説明会にどうしても誘いたかったらしいのですが、私と元同僚は苦し紛れの言い訳で断ってきました。
後日、その元同僚と二人で飲んだのですが、もう半分はその先輩の話題でした。
『まさかあんなモノにまで手を出してるなんて』『もうあの人とはしばらく連絡しないでおこう』やはり、実際に勧誘されてみるとそういう見方になってしまいます。
あの先輩は、お金のためにあえて旧知の人間をどんどん切り捨てていってるのでしょうか。
それとも、本当に自分は素晴らしい事をやっていると思い込んで、安易な気持ちでこんな勧誘をくりかえしているのでしょうか。
とりあえず、私にはああいった商売はまず無理だと思いました。
しかし、久しぶりに苦い酒を飲んだなぁ。